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■ 妊娠前からの葉酸摂取−時期と量、バランスが重要− | 2009. 1.20 |
20歳代のOLのAさんは近い将来妊娠を考えている。妊婦は葉酸を取ったほうがよいと聞いているが、いつからどのようにとってよいかわからないので近くの産婦人科に相談した。 一般的に妊婦は週数によって適正な栄養摂取の基準が示されている。多くの栄養をバランスよくとるのがよいことはいうまでもない。欧米では1990年代より、胎児の神経管欠損症の原因として葉酸摂取量少ないことが報告され、摂取量を増やすことにより発生率を抑えるべきだとの報告がされた。以来、女性のサプリメントやシリアルなどに葉酸を含む食品が売り出される様になった。 神経管欠損症の頻度は人種や生活習慣によって異なり白人におおく、アフリカ系アメリカ人あるいはアジア人は比較的少ない。日本人は比較的少ない。重要なのは摂取するべき時期である。葉酸不足が原因となる疾患は妊娠4週前後までに起こることが多いので、妊娠とわかってから摂取するのでは遅い。妊娠の可能性のある女性は日々食事で葉酸摂取量を維持することが重要だ。葉酸は葉もの野菜や果物、豆類、レバーなどに多く含まれている。しかし、各個人の食生活によっては食事からだけでは充分に摂取することが難しい場合もある。厚生省の推奨する葉酸摂取量は440μgといわれる。これは各種サプリメントに含まれる量だ。 Aさんは話をよく聞き、妊娠前から葉酸を含め日常の食事についてバランスのよい栄養摂取を心がけるつもりだ。 田坂クリニック産婦人科・内科院長 田坂慶一 平成21年1月20日〔火曜日〕日本経済新聞 |