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■ 子宮腺筋症−強い月経痛、30−40代に多い− | 2008. 3. 11 |
Bさん(43)は3年前ぐらいから月経痛がひどくなり、通常の鎮痛剤がまったく効かない。超音波検査では子宮の前壁が分厚いとの所見を得ている。子宮腺筋症の疑いがあるといわれた。 子宮腺筋症は子宮内膜症、子宮筋腫とともに30−40代によく見られる疾患だ。子宮腫大から見ると子宮筋腫に似ているが、組織的に質は子宮子宮内膜症と類似する。子宮内膜症では子宮内膜が子宮以外の骨盤腔にあるのに対して子宮腺筋症では子宮筋層に層状に存在する。それらが月経時に同時に局所で炎症をおこすため、強い月経痛を伴うことは容易に想像できる。また炎症の繰り返しにより子宮筋層は器質化市、月経量が増える。 超音波検査では子宮筋腫とは異なり、境界不明瞭(めいりょう)な筋層の肥厚像となる。核磁気共鳴画像装置(MRI)では子宮の微慢性肥厚、点状出血、子宮内膜下の疎な部分の消失が特徴的で子宮筋腫とは明確に区別できるが、病変は閉経後変性し、ほとんど無症状となる。治療は妊娠・出産を希望するかどうかで異なる、希望する場合は不妊治療を優先し、希望ない場合は軽症だと鎮痛剤、中等、重症の場合は月経時の局所の反応を抑制するためにプロゲステロン製剤の漸増的投与、または周期的投与、低用量ピルの投与を考える。症状がひどく、子宮摘出にふみきる場合も少なくない。Bさんの場合はプロゲステロン製剤の漸増的投与後に周期的投与。症状によっては手術も致し方ないと思っている。 日本経済新聞 2008年3月11日夕刊掲載 |