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■ 妊娠中のインフルエンザワクチン−安全確認済み、米では推奨− | 2007.11. 20 |
Aさん(32歳)妊娠3ヶ月である。すでに2歳の子供がいる。毎年インフルエンザにかかるので今年はワクチンの接種を考えているが、妊娠への影響が心配で迷っている。 インフルエンザが毎年のように流行し、特に小児、老齢者は死亡率が高く、これらの人々を対象に公的補助によるワクチン接種が勧められている。ワクチンは症状の重症化を軽減するので重要な仕事や入学試験などへの影響を考えて自発的に受ける人が多い。 妊婦への接種はどう考えられているだろうか。インフルエンザワクチンはほかのワクチンと異なり、病原性をなくした不活化ワクチンで妊娠全期間にわたって母児に対して安全であることがわかっている。ただし、日本ではワクチン添付文書に「妊婦に対しては接種しないことを原則に有益性が危険性を上回る場合に接種」と記載してある。 欧米では、妊婦のインフルエンザ罹患では非妊婦に比べて重症化と合併症のリスクが高いこと、新生児や周りの子供にうつる可能性があることなどの理由から、接種することのメリットのほうが大きいと考えられている。最近の米国の公的機関の広報ではインフルエンザのシーズンに分娩する妊婦は積極的にワクチン接種を受けることを勧めている。日本での方針も変わる可能性がある。 ワクチンは接種してから効果が出るまで2週間かかり、その効果は2-3ヶ月持続する。そろそろ接種を受けるのがよいだろう。 日本経済新聞 11月20日掲載 |