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■ 尿漏れ −量によっては手術の必要も− | 2007. 2. 13 |
Aさん(32)は2人の子供がいる。2年前から咳をしたときや運動時に時々、尿漏れが起こるようになり、近くの産婦人科を受診した。 女性の尿漏れ(尿失禁)の経験者は約32%と意外に多く、経産婦に多い。症状自体訴えることが躊躇されるので、実態がつかめなかったが、最近では治療を望む女性も増えてきた。尿を溜める蓄尿機能と尿をだす尿排出機能は膀胱と尿道の相互作用で行われるが、尿失禁はこれらの異常(膀胱内圧の上昇、または尿道閉鎖圧の低下)によって発生、その組み合わせによってさまざまな形をとる。医学的に腹圧性尿失禁(咳、動作時に漏れる)、切迫性尿失禁(強い尿意で不随意に尿が漏れる、夜間頻尿)、反射性尿失禁(中枢神経の異常で起こることが多い)、逸流性尿失禁(手術後、薬剤服用などでおこる)に分類される。一般には腹圧性尿失禁が最も多い。タイプ別で治療法は異なる。腹圧性尿失禁の場合少量なだと骨盤底筋訓練法や薬物療法が有効、量が多くなると尿道の角度を補正するスリング手術行う場合が多い。切迫性尿失禁だと膀胱の刺激を抑えるような薬物療法が選択される。逸流性尿失禁では薬物療法主体だが効き目がない場合間歇導尿を実施することもある。Aさんは骨盤の筋肉を鍛える運動で症状は少し改善された。当分はこれでよいと思っているが、場合によっては将来的に手術も考えている。 日本経済新聞 2007年2月13日夕刊掲載 |