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■ 月経不順―基礎体温で排卵チェック―2007. 1. 9

女性会社員Bさん(27)は最近月経が不順で2−3ヶ月に1回である。何も不自由は感じないが「このままほおっておいて問題はないのか」「将来子供ができるのか」不安になって近くの医師に診てもらった。月経と排卵は密接な関係を持つ。排卵の有無を調べる簡便な方法が基礎体温測定だ。一般に排卵周期を持つ女性の基礎体温には低温相と高温相があり、排卵後黄体から分泌されるプロゲステロンにより、体温が上昇し、高温相に移行する。黄体の寿命は14日なので黄体期も14日を大きく越えることはない。排卵は体温上昇を持って判定する。上昇前の低下を排卵と考える人がいるがこれは間違いである。一般に上昇前の日が排卵日と考える。14日を数日以上越える高温相継続では妊娠の可能性を考える。基礎体温は排卵の有無を確認する方法であって正確な日を予測する方法ではない。排卵予測には排卵前におこるLHサージを尿、唾液でチェックするか、または超音波検査で卵胞径を測定する。自覚的には透明な、糸を引く帯下の増量が指標になる。基礎体温は月経周期に対応した月経前の下腹痛、むかつき、いらいら、乳房痛などの諸症状、月経前の情緒障害、排卵前後の下腹痛、排卵前後の少量出血、妊娠の可能性などを予測し、対応するのに有用であるBさんは月経不順について各種ホルモン検査を実施した。特に原因があるわけでなく、月経前には高温相があり、排卵も確認できたのでしばらく様子を見ることとになった。

日本経済新聞 平成19年1月9日日夕刊掲載