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■ がんのフォロウアップ −経済性を考え、検査を厳選−2006. 9. 26

Bさん(53)は卵巣がんになったが手術と抗がん剤投与で病変はなくなっている。現在は外来フォロウアップとなっている。がんの再発が心配で仕方ない。どのぐらいの頻度で受診したらよいか。その基準は何か、について知りたい。
一般に悪性腫瘍治療後の患者は再発に対して敏感になり、毎月でも受診して多くの検査をしてほしいと考える。しかし、再発は多くの場合初期段階では病変を特定できないか、診断確定に日を要する場合があり、初発の発見とは対応が異なる。医療費が高い欧米では再発は患者の自覚症状による来院で見つかることが多い。このため、頻繁なフォロウアップが推奨されていない。治療後2年以内だと3−4ヵ月毎、それ以降では5年をめどにより長い間隔でよいとされている。しかし、最近特に婦人科がん再発では化学療法、放射線療法の進歩により生存期間の延長、数年のQOL(生活の質)確保にいたる例も少なくない。日本では医療経済を配慮した上で検査を厳選してフォロウアップを行うとの考え方が一般的である。治療後再発は子宮頚がんだと2年以内、子宮体がんの場合は3年以内、卵巣がんの場合は2年以内が多い。このため1年以内は1−2ヶ月に1回、2−3年は2−3ヶ月に1回、3−5年は4−6ヶ月に1回、5年をめどにより長い間隔でよいとされる。診察は婦人科診察、細胞診検査を基本とし、腫瘍マーカー、超音波検査、腹部CT、胸部レ線検査などを適宜行う。

日本経済新聞 2006年9月26日夕刊掲載