[戻る] |
■ 頻尿 −簡単にできる膀胱訓練− | 2006. 5. 16 |
主婦のAさん(55)は2年前から頻繁に尿意を催し、いつもトイレを探しているような生活を送るようになった。ある日数えると1日に14回もトイレに行った。時々間に合わず下着をぬらすこともある。日常生活に支障があるので近くの産婦人科に相談した。 このような症状は更年期以後の女性によく見られる。多くの場合、頻繁に排尿する割には満足感がない。1回の尿量は少なく、排尿後に尿が滴下し、すぐにまた行きたくなる。外出するとトイレの場所が気になって仕方がない。よくありそうだが度を越すと疾患として扱う。大量引水、コーヒーの過剰摂取、入眠前の飲水などが原因のことも場合もある。糖尿病、利尿剤服用、神経疾患などによる場合もある。自分でできる検査法として排尿日誌をつけてみる。1回の尿量が少ない割りに頻繁に排尿していることがわかる。原因疾患がなく、かつ尿量自体が多いときは水分摂取を抑えることも有効だ。特にカフェイン摂取は控えるほうがよい。最も簡単な治療は「膀胱訓練」といわれるトレーニング。いつもの間隔での排尿から初め、少しずつ(たとえば30分)間隔を伸ばす。最終的に3−4時間我慢できて1回の尿量が300mlが理想だ。薬物療法では膀胱粘膜の伸縮性確保のために女性ホルモン剤、あるいは抗コリン剤を使ってもよい。Aさんの場合、睡眠前の水分摂取を制限し、膀胱訓練を実施して2時間ぐらい我慢できるようになった。 日本経済新聞 2006年5月16日夕刊掲載 |