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■ 年齢と妊よう性 −卵子の変化が主因− | 2006. 3. 14 |
会社勤めのAさんは現在33歳、3年前に結婚したがしかるべき時期に子供がほしいと思っている。年齢と妊孕性(妊娠しやすさ)について知りたく産婦人科を訪ねた。 一般に年齢と妊孕性の関係を調べるためには避妊しないことが条件になる。しかし、避妊しないことは現実的ではないので自然妊娠を調べるためにはある集団(避妊を実施しない、あるいは避妊をしないを教義にしている人たち)で調査することになる。一生に女性が生むことができる子供の人数は平均7.9人、妊孕性低下は不妊原因とは別で生理的事実ととらえるべきだ。最も妊よう性が高いのは25歳で、35歳以後徐々に低下し、40歳以後では3分の1が不妊となる。最近まで妊孕性が低くなる原因は子宮、卵管の年齢的変化によるとされてきた。しかし、外国での卵子提供による治療成績で若い女性から提供された卵子を用いると高齢でも通常の女性と変わらない妊娠率が得られることがわかった。年齢による妊孕性の低下は卵子の加齢による変化が原因であるとの考え方が現在では主流だ。外国では高齢女性の体外受精に関して、卵子提供による体外受精の選択肢を示すこともある。今まで漠然とした不安を持っていたAさんは年齢と妊孕性に関する正しい情報を得たことになる。結局年齢だけではいつ子供を持つかについての主体的要因にはならないが、仕事、経済的なこと、人生設計のいくつかの条件と同様、考慮に入れて考えようと思っている。 日本経済新聞 2006年3月14日夕刊掲載 |