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■ 女性の下腹痛 −急性には4つの原因−2003. 1. 14

OLのAさん(28)は2−3日前より下腹部が痛く、いやなにおいのおりものが増えた。抜けられない仕事があり我慢していたが、痛みがだんだん強くなったので、心配になり、仕事帰りに近くの産婦人科を訪ねた。
女性の下腹痛は急性、慢性、周期性に分かれる。急性の痛みには4つの原因がある。第1は初期流産や子宮外妊娠、子宮卵管の炎症性疾患、卵巣嚢腫茎捻転などの産婦人科的原因、第2は胃腸炎や虫垂炎、便通異常など消化器系が原因の痛み、第3は膀胱炎や腎盂腎炎、尿管結石など泌尿器疾患に伴う痛み、第4はそうしたもの意外からくる痛みだ。どれに当てはまるかは痛みを感じる場所や、便通、排尿に伴う症状、検査データ、そのほかの症状などから時間をおかずに診断する。慢性の場合、痛みは数ヶ月におよび原因は多様で漠然としたものが多い。周期性の下腹痛は月経周期と深い関係があり、月経時や排卵期近くの時期、月経前に多く見られる。Aさんは膿性のおりものや、子宮を押さえたときの圧痛、子宮右側の附属器(卵管と卵巣)の圧痛があったので、子宮内膜炎と右附属器炎と診断された。初診時の検査で性感染症の原因菌の一つ、クラミジアが検出されたので、恋人にも事情を話して引き続き一緒に治療を実施、2週間後の検査で検出されなくなった。

日本経済新聞 2003年1月14日夕刊掲載