[戻る]
■ 乳汁漏出と月経異常 −関係密接、不妊の原因にも−2005. 8. 19

OLのBさんは半年ほど前からブラジャーの両側に白い分泌物がつくようになり、入浴時に押したら母乳のような液が出てきた。同じころより月経が乱れ始め最近は3ヶ月に1回になった。原因がわからず心配になって産婦人科に行った。
月経と乳汁分泌には密接な関係がある。たとえば母乳を与えている間は月経が止まったり乱れたりすることが多い。両者の間にはプロラクチンという下垂体ホルモンが介在し、一方では乳汁分泌を促し、他方では視床下部と介して卵巣機能を抑制する。分娩後でもないのにこの現象がひどいと乳汁漏出性無月経とよび、排卵障害による不妊症の原因ともなる。左右の乳房からの乳汁分泌と血中プロラクチンの高値を確認できればこの病気とわかる。 原因疾患としては下垂体腺腫、視床下部障害、甲状腺機能低下症があるが原因不明の場合もある。乳汁漏出性無月経はプロラクチンを上昇させるある種の降圧剤、向精神薬、抗うつ剤、胃腸薬などでもおこる。治療はプロラクチンを低下させるドーパミン作働薬を使用するが腺腫の場合外科的治療を行う場合もある。薬による場合はその投薬を減らすかまたは中止する。適切に治療すれば月経は元に戻り、卵巣機能は回復する。子供がほしい人は薬剤で治療し、妊娠したら投薬をやめればよい。Bさんはちょうど半年前から精神科で処方されている薬があった。精神科医に相談しほかの薬剤に変えたら乳汁が止まり、月経が戻った。

日本経済新聞 2005年8月19日夕刊掲載