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■ 子宮外妊娠 −治療法の選択枝増える−2005. 3. 29

OLのBさんは月経が2週間ほど遅れていた。昨日、少量の出血と下腹部の痛みがあり、近くの病院を受診した。妊娠反応は陽性で、診察と超音波検査の結果、医師から子宮外妊娠の可能性があるといわれた。
子宮外妊娠は大量の腹腔内出血が起きるため、おなかを開く緊急手術になることが多かった。しかし、妊娠診断薬の改良と超音波検査の導入で早期診断が可能となり、現在はさまざまな治療法を選べる。そこで重要なのは@妊娠週数の正確な診断A超音波検査による子宮内所見B卵管部所見C腹腔内出血の有無D内診所見ーだ。妊娠7週未満の場合は初期流産の可能性があり、尿中ホルモン値の推移と症状を経過観察する。妊娠7週で胎嚢が確認されず、ホルモン値の上昇や腹腔内出血が認められれば子宮外妊娠と診断できる。治療法は内科的治療(メトトレキセート全身投与)、腹腔鏡下手術(卵管切開内容除去、圧出、卵管切除、メトトレキセート局所投与など)、開腹手術の中から選ばれる。子宮外妊娠が疑われる場合はこうした治療法の選択が可能な病院を受診するべきだ。内科的治療は2−3回の治療でほとんどすむがたまに手術が必要なケースがある。3週間程度の結果観察が必要だ。腹腔鏡手術は病巣を取り除くことができれば1週間で退院できる。大量出血の場合はおなかを開き病巣を除去する。Bさんは2回のメトトレキセート注射でホルモン値が低下、手術せずに治った。

日本経済新聞 2005年3月29日夕刊掲載