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■ 排卵期出血 −生理現象 心配なし− | 2004. 12. 7 |
Aさんは25歳のOL、月経は順調で28日周期、持続は7日ぐらいである。月経が終わってから1週間ぐらいたつと少量の出血が時々ある。なんとなく心配で産婦人科を受診した。 一般に月経が順調な女性では開始日から14日目(終わってから7日目)前後、不順な女性では排卵日前後に少量の出血を見る人は少なくない。一般に「排卵期出血」「中間出血」と呼ぶ。排卵期前後では卵胞の発育に伴ってエストロゲン(女性ホルモンの一種)が増量し、その作用で子宮内膜が厚みを増す。排卵直前にエストロゲンは急激に低下するとともにプロゲステロン(同)が上昇する。エストロゲンのピークとプロゲステロンの作用が始まるまでの間に2日ほどあるので、エストロゲンの子宮内膜増殖作用とプロゲステロンの子宮内膜維持作用および分泌期内膜への移行との間のギャップから少量の出血を見ることがある。たいていは月経の半分以下の量で、持続はだいたい3−4日以内、排卵期を中心に起こるので排卵痛が目安となることがある。 またこの時期には透明なおりものが増加するので、これらの変化を総合すれば排卵期出血かどうかの判断は可能である。こうした条件を満たせば診断可能なので通常の定期健診で問題なければ病的な意味はほとんどのない。むしろホルモン的見地から見れば当たり前といえる。Aさんは出血に関してその生理的意味を医師から説明を受け、病的意味が少ないことを聞いて少し安心した。 日本経済新聞 2004年12月7日夕刊掲載 |